短編小説

IMG_0001.JPG

「貴方がこの文章を読む頃には、私は麦畑の向こうの別の世界に消えていることと思います。比喩的な表現ですが、今はこのような伝え方でしか記せないことをお許しください。貴方に話す時、正直に言いますと少し、いえ、かなり躊躇ってしまいます。貴方はひど…

花盛りの部屋

レディMはその花に満ちた部屋に私を通すとしばらくここで待っていて下さい。そのあいだに心を落ち着けるといいでしょう。と云って出ていった。息のできるのが不思議なほどにその部屋は花々に満ち、私の腰掛けたテーブルにさえお茶を乗せる隙間もないほどに植…