2022-01-01から1年間の記事一覧

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「貴方がこの文章を読む頃には、私は麦畑の向こうの別の世界に消えていることと思います。比喩的な表現ですが、今はこのような伝え方でしか記せないことをお許しください。貴方に話す時、正直に言いますと少し、いえ、かなり躊躇ってしまいます。貴方はひど…

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4 不吉な予言を払拭するかのごとく階下へ降りてきた彼の肢体は神々しかった。ブラックアイアンの手すりをなでる手はしなやかに椅子の背もたれを掴み絹のシャツから香る花は私の吟味した香水の匂いだった。洗面台に置かれた左から5番目の、色は淡いブルーのも…

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3 ダイニングテーブルに料理をならべて腰を掛ける。夏に蓼科などに来るものじゃなかったと窓の外をみながらエアコンの温度を22度、彼の好む温度に設定した。なにしろ暑い。庭の楓の木が夏の日差しを受けたまま動かない。グラスに水と氷と冷蔵庫に入っていた…

アクア・ヴィタエ・コローニュ フランシス・クルジャン

最近私のポケットには試供品の香水が入っている。香水を購入したときに店舗がお試しでくれる2mlのスプレーボトル。いつ手に入れたのかは覚えていない。机の引き出しに忘れられたように隅に置かれていたのを最近見つけた。ボトルにはアクア・ヴィタエ・コロー…

サンタマリア・ノッベラ本店へ行く

雨の降る休日に銀座のサンタマリアノッベラへ出かけた。夏の蒸し暑い日だった。ロングワンピースの裾がアスファルトを浸す雨水でぬれないか心配しながら、コンビニで買った透明な傘をさして銀座の細い路地を歩いた。本店は幅1.5間ほどの小さな間口でサンタマ…

ハーフエタニティを選ぶかフルエタニティにするか

ハーフエタニティにするか、フルエタニティにするか。よく見るお題である。そしてたいていはサイズ直しのできるハーフエタニティに軍配が上がる。今日はあえてフルエタニティを選んだほうが良い利点をあげようとおもう。 ・なぜフルエタニティを選んだほうが…

0.7カラット ハーフエタニティ ダイヤモンドリング

このリングを購入したのは30代の初め頃、楽天でのネット購入だった。なぜこれを買ったのか、動機はもう覚えてない。当時日経平均の株価が七千円台で、海外の品物が安く手に入った時代、ダイヤも金もアンティーク・ジュエリーも今の価格の半額ほどだった。カ…

ボナヴェンチュラの香水

ボナヴェンチュラから香水が販売されたというので早速試供品を注文した。注文と言っても実質送料込で0円なので特をしたというか申し訳ないというかひどく太っ腹な会社である。 私はボナヴェンチュラでスマホの手帳風カバーを購入したことがある。今も使用し…

祇園礼祭図屏風 細見美術館

祇園祭とはよく聞く祭名である。京都の葵祭、時代祭、そして祇園祭の三大祭のひとつであり厄災を払う祭りらしい。時期は7月1日から7月31日まで。ひと月のあいだ開催されつづけるというから驚きである。といっても打ち合わせや鉾の組み立てを含む一ヶ月なので…

絵画についての書籍1

絵画について知らないことが多いので書籍を読み学ぼうと手にしたのが 高階秀爾 著 名画を見る眼 岩波新書 だった。西洋絵画を学んだ人なら全員が知っているであろう基本のキが書かれている。私の驚いたのはその文章の簡素でありつつ流麗で的確な表現であった…

加茂社競馬図屏風 細見美術館

加茂社とはいずれの神社を指すのか調べてみると、どうやら 加茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ 通称:上加茂神社)と 加茂御祖神社(かもみおやじんじゃ 通称:下鴨神社) のふたつの神社を合わせて呼ぶらしい。ふたつ合わせて呼ぶならば隣り合って、も…

洛外図屏風 細見美術館

よく耳にする洛中洛外図屏風。今日の画像は洛外図屏風だがそもそも洛中・洛外とはどの場所を指すのか。おそらく洛中とは京都、洛外とはその外となのだろうが明確な線引があるのか調べてみると豊臣秀吉の京都整地によって洛中・洛外が区別されるようになった…

北野社殿図屏風 細見美術館

北野社頭図屏風 さて二日目である。もちろん日本美術の知識は増えてはいないので昨日の続きのような文章になる。北野社頭図屏風は江戸時代初期に描かれたものらしい。東山名所図屏風よりも建築物は厚みがあり立体的で人びとの様子も細かに描写されている。相…

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2 食事なんてどうでもいいとケータリングで日々過ごしているくせに月に数度の蓼科での宿泊時には慣れない手付きで私は食事をつくる。適当に買い集めた食材で見よう見まねに身体に良さそうなものを、フライパンのなかで混ぜ合わせてみる。調味料を適度に振り…

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1 私の彼の何処が気に入っているのかと問われたらすぐに思いつくのは言い古された言葉だろうけれども白魚のような指を持つ手だ。白く透き通って青い血管の浮き出たところどころ節の強張った、女性的ではないけれどもかといって男のようにがさつでもない、中…

初歩の初歩 東山名所図屏風 細見美術館

せっかくでかけた美術館で得るものが無いのは悔しいので掠める程度に勉強してみる。一隻(いっせき)の屏風を観て時代と場所程度がわかれば御の字とする(レベル高いかな)おいおいここに書き連ねていけば自ずと様々なことが理解できると期待している。 1 東…

地球的な オパールについて

私はオパールという石が好きだ。多分母も好きだと思う。初任給で購入した石がオパールだからだ。それはとても大きくていつどこにしていくのか今の時代まったく想像もつかないものだけれどいつか形見分けに貰おうと思っている。こんなことを書くと全く親不孝…

ルイ・ヴィトンで香水を買った

ルイヴィトンで香水が販売されているのを知ったのはかなり前、You Tubeでインフルエンサーが知人に一箱ずつ感謝の念を込めてプレゼントしている場面を見てからだった。そのパッケージは男性的で、フォントも蓋もボトルの厚みやラインも、旅のブランドのヴィ…

001(仮)

この家の鍵を受け取ったのは今年の正月の夕食時だった。その鍵はなんの変哲もないステンレスでできた、どこにでもあるような鍵だった。それを私の手のひらにのせて、自由に使っていいよといったのは母方の叔父だ。ひと回りほど年上の、海外で仕事をしている…

2022年正月東京旅行3

今回の旅行のメインは1月3日のニューイヤー・コンサート。1/2のウィーン・フォルクスオーパー交響楽団が突如オミクロン株の影響で来日中止になり、東京フィルハーモニー交響楽団の演奏を聴きに行くことに。 Bunkamura での開催。渋谷は賑やか。 赤坂見附はビ…

2022年正月東京旅行2

伊勢丹新宿店へ 向かうはフレグランスコーナー。 思いのほか空いていたので気を使うことなく思う存分楽しんできました。 まずはアドバイザーの方に好みの香りを告げてニュアンスの近いものを選んでもらいます。 結論から言うと今回購入した香水はクロエのチ…

2022年正月東京旅行1

2022年の初詣は日本三大稲荷のひとつ豊川稲荷の東京別院へ参拝に出かけました。 写真は1月3日の早朝なので人は少ないですが、お昼頃には入社規制ができるほどの人垣で賑わってました。 出口まで人が並んでます。敷地内に茶枳尼天様や弁財天様にお稲荷様、そ…