絵画についての書籍1

 絵画について知らないことが多いので書籍を読み学ぼうと手にしたのが

高階秀爾 著 名画を見る眼 岩波新書

だった。西洋絵画を学んだ人なら全員が知っているであろう基本のキが書かれている。私の驚いたのはその文章の簡素でありつつ流麗で的確な表現であった。出版は昭和44年。古さなど微塵も無い。絵画と同じように高階秀爾氏の文章も麗しい。

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同じ高階氏著の「名画を見る眼2」は1に比べ専門性が掘り下げられ幾分読むのに時間がかかる。モネのパラソルをさす女性から解説が始まるが氏の絵画への情熱が溢れる様に興味が惹かれる。

 

上記を読むと同時に澤田瞳子氏の「若冲」を読み進める。時代小説は司馬遼太郎ぐらいしか読んだことがないので比べようもないがしかし司馬遼太郎という人の小説は私の読んだものだけかもしれないが途中唐突に解説が入り話が始終中断されるのだけれども最後まで勢いを失わず読み手を圧倒させる。澤田氏の若冲は主人公の暮らした当時の江戸の風情や仕組みを詳細に書き上げた代わりなのか若冲が浮世絵のようにこう言ってはなんだが厚みに欠けるような気がする。読者の想像を掻き立てるのにそんな手法をあえて使ったのかもしれない。

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息抜きに読んだもう一冊は「文豪達の西洋美術」谷川渥 である。もくじ の数ページを眺めているだけで時を忘れるほどうっとりとしてしまうのはフォントと丁装飾の整っているせいだろう。谷崎潤一郎のビアズレエ、佐藤春男のウィリアム・ブレイク梶井基次郎レンブラント、等々総勢五十七人の文豪が並び小説に登場した絵画の作家がその下を飾る。ほぼ小説は青空文庫で読めるのでオールカラーの絵画を眺めつつ読後思いを馳せるのが楽しい。

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