私の香水遍歴4

 
エクラドゥアルページュ

LANVIN(ランバン) 【ランバン】エクラドゥアルページュ EDP [並行輸入品] 単品 100mL

当時勤務先の上司が付けていた香り。あまりにいい香りで尋ねて返ってきた名がエクラドゥアルページュであった。ランバンのロングランヒット作。名の通り大成功をおさめた香水。雑誌や漫画で、思わずついていきたくなる香りなどという表現を目にするが妄想が現実になりそうなほどいい匂い。朝焼けの空色に似たグラデーションカラーも美しい。

 

 

プチシェリ

グタール プチシェリー オードパルファム EDP SP 100ml [並行輸入品]

桃か洋梨か、それが問題である。つけたときどちらが香るかお楽しみワクワク感のある香水。残念なのは持続時間の短いこと。どうして最近の香水は持続力がないのだろう。突然の会議でプアゾンが香っていても困るが、もう少し長く香りを楽しませてほしい。以前はアニック・グダールというブランド名であった。母親の名を娘が取り除いてしまった。前の名のほうがエレガントに感じるのは私だけだろうか。グダールのなかで一番人気のある香水。個人的にはマグノリアが好き。

 

 

ランコム ミ・ラ・ク オードパルファム 30mL

これについて語ることはなにもない。なぜなら香りを認知できないから。書籍にはペッパーがローズがジャスミンがライチが等、記されており読んではじめてああそんな香りなのかと想像する。私には単純な甘い香りが一本調子で続く、くだんの謎の香水のひとつである。

 

 

ガーデニア

シャネル[CHANEL]ガーデニア200mlオードトワレスプレー

ガーデニアの香りを探し求めていた。今も探し求めている。西洋クチナシと東洋の梔子では花の種類が異なるので求める香りとは異なるが雑味やムスクの過剰な重みも無い、シャネルでは使いやすい香水。自社の園で抽出している香料を存分に使用しているせいか高価。その所為で2本目は躊躇している。

 

 

リッチカメリア
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ジルスチュアートの分家、フローラノーティスがやってくれた。生花の香りだ。根付いた花の園に立つ、私にまとわりつく生きた香りだ。合成香料の使用は不明。アロマ的な匂いは感じられない。カメリアの園にはローズにミュゲ、ゼニアオイ、オレンジ、マンダリンが咲き乱れムスクの甘ったるさがそこはかとなく漂う。花の香りが複雑に しかし調和を保ちつつ香るさまはじつに心地よい。

 

 

センシュアルジャスミン

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フローラノーティスはすでに十種もの香りを販売している。どの香りも甲乙つけがたい。生花の香りを踏襲しつつ各花の園は個性あふれる色彩に彩られている。選択はお好みで。センシュアルジャスミンは官能的とあるがグリーンを基調とした爽やかさが先立つ香りだ。時折漂う甘さはカモミールジャスミンだろう。ふとした瞬間にこの香りに包まれると、花園に立つ自分を見出すのだ。
 
 
キャンディ

プラダ PRADA キャンディ オードパルファム 30ml EDP SP

難しい香りだ。ひとことで言えばキャラメル。キャラメルの香りをなにゆえに身に纏わねばならぬのか、お菓子工場から今出てきたばかりですよ、という主張か。グルマン系の香りはそれゆえ好まない。意味がわからないのだ。この香りと統一可能なスタイルはポップでキュートな何かだろう。キャンディの派生物のキャンディキスはコットンフラワーをこれに加えて控えめな甘さを主張している。キャンディもキャンディキスも、思うに若く不幸をほぼ知らぬ、希望に沿って歩める幸せな若い女性に似合う香りだ。

 

 

リブレ

イヴ サンローラン YSL リブレ 50ml EDP SP [並行輸入品]

ラストはYSLのリブレ。現在私はこの香りに落ちている。刻々と変化する香りに魅了されている。今がマスクの時代でよかった。もしかすると香害の域にまで発展しかねないほどにつけてしまう。現代の香水にもれずリブレも案外早くに消えてしまうのだが身近にないと心細いお守り、チャームにさえなっている。

 その広告は過激でアヴァンギャルドな雰囲気さえする。しかし最初に香るのは安眠を誘うラベンダーだ。ユニセックスと言われる所以もこの大人しげなラベンダーにある。蒼く苦いセクシーなラベンダーを胸いっぱいに吸い込み満面の笑顔で振り返った瞬間、オレンジの甘味と酸味が鼻先をくすぐる。疑問と同時に現れたジャスミン千夜一夜の踊り子のごとく妖艶に微笑う。この甘さはひときわ際立つ。エキゾチックな花香に耽溺するまもなく次はヴァニラが唐突に姿を見せた。マスキュリンないでたちのとびきりの美女。それらがコットンフラワーの清々しい香気とともにランダムに登場するのだから私はもうなすすべもなくこの香りの虜なのである。

 

長い時間をかけて振り返った。趣味にしてはそれほど本数は使用はしてないと思う。当時流行ったものを使うという王道をおそらく歩んでいる。なので面白みもないかもしれない。

いわゆるフロリエンタルな香りが私は好きなのだ。その領域に括られるものの中から好みのものを選ぶ。香水は実際に身につけてみないとわからない。ネットで服を買う安易さの無いのが億劫だ。機会のあるたびに伊勢丹のフレグランスコーナーへ足を運ぶが、あの場所も少しずつファッションフレグランスに場を取られつつある。ニッチなアイテムが減っている。一本数万もする消耗品なので仕方ないのかもしれない。そんなものに魅了された私の運命もまた仕様がないのだ。