離れ 5 昔から俺はピアノという楽器が苦手だった。大きく、重く、そこに在り続ける動かし難い威圧感、圧迫感を、それは俺に与えた。ヴァイオリンは軽さと手頃な大きさゆえに何処へでも運んで行ける。願えば常にそばにあり続けることができるのにピアノときた…
4 離れ 確かに俺と玲は従兄妹どうしだ。 倩爾だってそうだ。だが子供の頃に遊んだ記憶がない。互いの家が遠いせいもある。母親が実家に頻繁に出向いていなかったためだろうか。それでも従兄弟同士なのだからどこかで会ったことはあるはずだ。葬式や結婚式や…
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