X 020

枕の脇に置いたスマホが鳴った。見るとタキからの連絡だった。私の自室は整理されて今すぐにでもベットに潜り込める状態になったらしい。母親がわりのタキは私のことをよく知っている。目の覚める時間も、寝起きにチョコレートを食べないと身体の動かないことも。寝巻きのまま乱れた髪でトランクはそのままに私は自室へ向かった。幼い頃遊んだ暗い廊下を裸足で歩きながら。途中使用人が驚いて何かしら声をかけたけど応えるのも面倒で何も言わずにやり過ごした。朝は気分が優れないのだ。陽の高く上るまでもう一度眠る必要があった。マンションへ戻るか一夏をここで過ごすか、昼食後に決めよう。