X 019

屋根裏部屋の小窓から差し込んだ陽が薄暗い部屋を照らしていた。陽の差し込む光がまるで一条の線のように私の手首を裂いていた。しばらくそれを見つめながら自分が今どこにいるのか記憶を辿る。
 タキの部屋は狭くて暗い。すでに階下へ食事の支度へと向かったのだろう。私は疲れた体を無理やり起こして頭痛のする頭を抱え込んだ。
 そして乾いた笑を浮かべた。わざわざ戻ってくる必要もない自宅へ真夜中に苦労して足を運び、離れへ荷物を運び入れてみれば見知らぬ男にすでにそこは占領され久しぶりにタキに会えたのは嬉しい出来事だったけれどもおおよそ踏んだり蹴ったりの意味のない一日だった。まあ私のいつもの日常と変わりない非生産的なくだらない日々と大差ないのだけれど。