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「ソロモンと言えばサスティナ諸島での原地開拓が有名だが私個人ではナイトの称号も持っている。絵を描いて授与された。特に欲しくは無かったんだが。君の父君の屋敷にも私の絵がある。」
「父の部屋に?」
「いや、違う。」
「アートルーム?」
「さあ。」
私は目を丸くして彼を見た。黄金の巻毛に覗く二つの瞳は特に何かを語ってはいなかった。その絵を見たいと願ったけれども言葉にするのは憚られた。これ以上目の前にいけ高々と腰掛けて高慢な態度を見せる男性と近づきたくなかった。
「私、部屋に戻るわ。」
持ち運んだ荷物をトランクにまとめるために私は立ち上がった。
「部屋?母屋の自室?」
「そう。貴方が先客なら仕方ない。私ここにいることはできないもの。自分の部屋は好きじゃないけど、貴方と2人で離れに暮らすわけにもいかないでしょう。荷物も少ないし、長居する予定もないし、どうぞご自由に使って。貴方が何故ここに暮らすのか知らないけど、父が許したのなら、私は何も言えないわ。それじゃ。」